FC2ブログ

Welcome to my blog

Hello, I am an admin of this site.
I've been expecting you.
I'm so glad that I met you xoxo.

空木の影 小さな窓に

05
2018  22:36:59

Mの館  Dな気分

IMGP6646 f



大きなパネルに、紙が貼られている。遠目からは、何も描かれていないように見えたが、中心の辺りが薄汚れている。

近づいてみてみる。

めをひらいて、中心にあるものを確認する。

IMGP6652 f


支持体の上には、たいへん薄い鉛筆の細密画が描かれていた。

紀元前のギリシアやローマ期の像のような顔をした人物たちが、カリカチュアのキャラクターのように大きな顔に短足で描かれていた。
人物は、13体もおり、縦一列に並んでいる。どの人間も、前にいる者の肩に手を置き、前ならえのような、長い電車ごっこをしているようにも見えた。


IMGP6662 (2)


よく見ると、先頭の人物はイエス・キリストのような風貌をしている。とすると、後ろに続いている者たちは12使途ということになるのか。
しかし密集した人々は知能の低い哺乳類のように無垢で、表情がないともいえる。


IMGP6667 f


私はその絵画をみながら、ふいに夏目漱石の「三四郎」の一場面を思い返した。それはこんな場面である。



宵の口ではあるが、場所が場所だけにしんとしている。庭の先で虫の音がする。ひとりですわっていると、さみしい秋の初めである。その時遠い所でだれか、

「ああああ、もう少しの間だ」

と言う声がした。方角は家の裏手のようにも思えるが、遠いのでしっかりとはわからなかった。
また方角を聞き分ける暇もないうちに済んでしまった。

けれども三四郎の耳には明らかにこの一句が、すべてに捨てられた人の、すべてから返事を予期しない、真実のひとりごとと聞こえた。
三四郎は気味が悪くなった。ところへまた汽車が遠くから響いて来た。その音が次第に近づいて孟宗藪の下を通る時には、前の列車よりも倍も高い音を立てて過ぎ去った。

座敷の微震がやむまでは茫然としていた三四郎は、石火のごとく、さっきの嘆声と今の列車の響きとを、一種の因果で結びつけた。そうして、ぎくんと飛び上がった。その因果は恐るべきものである。




轢死した女の「ああああ、もう少しの間だ」という声が、いまも私の脳裏に木霊する。

描かれた13人の人物たちは、どこかユーモラスな存在でありながらも、先頭のイエスから順番に遠くへ行ってしまうかのような不穏な予感を感じさせた。

電車ごっこをした者たちの行先はどこ?私の頭の中には、女の孤独な死と13人の人物の列が重なり合う。


しばらく時間が経った。


すると、その絵を描いた作者が、私の目の前に立っていた。作者は女性だった。

私はゆっくしとした足取りで、その女性に近づいていった。




続く




にほんブログ村 コレクションブログへ
にほんブログ村



にほんブログ村 コレクションブログ ブライスへ
にほんブログ村

スポンサーサイト

 amuu

5 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/03/06 (Tue) 20:33 | EDIT | REPLY |   

miki2017  

yさん

こんばんは。わかりにくい、よみにくい文章でしたよね。非常に感覚的な話で。
漱石の「三四郎」のこの場面は、私自身が大学生になり一人暮らしをしていた頃の心境にも重なるものがありました。
熊谷守一という画家も若い頃に轢死をテーマにした作品を描いています。なにか感じるものがあるのでしょう。

小説に描かれていた、列車が来る前の呻きのような声を想像したときに、名前も顔も知らない人物の絶望や孤独がうっすらと滲み出てくるような気がしました。

その後、一枚の絵画を前にしたとき、やはりこの小説の一節が私の頭の中にありました。
13人の行列が作る喜劇的でもあり悲劇的でもある状況が、何か得体のしれない恐怖を喚起させました。


動物園のお話、怖いですね。自然の世界では当たり前のことでしょうが、見てはならぬものを観てしまったように思います。

2018/03/06 (Tue) 22:49 | EDIT | REPLY |   

miki2017  

kazuさん

こんばんは。個人的に13は好きです。
数に対するこだわりや信じているものがあったら面白いと思うんですが、私は非常にシンプルな人間なので、あまりありません。好きな言葉や好きな色、好きな音楽などを聞かれると困ることがあります。笑
しかし、昨日にミスチルの「ギフト」という曲のPVを観ていて、すごく好きだなと思いました。親と子供が笑顔で水遊びをしている姿に惹かれました。

2018/03/06 (Tue) 23:19 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/03/07 (Wed) 00:06 | EDIT | REPLY |   

miki2017  

Re: kazuさん

こんばんは。毎回、kazuさんの深い洞察には驚かされると同時に、非常に豊かな感性を感じています。私が適当に行っていることや、微妙な写真に対して、実際のもの以上にユニークな解釈をしてくださいます。


このブライスは頭部とお尻の内側にマグネットが入っているという、大変希少なブライスです。様々なお洋服を着こなせる素晴らしいモデルでもあります。このお洋服も海外の方の作品で、大変気に入っています。

三四郎の小説に出てくる呻きが、次々に闇に葬られていく者たちの声に聞こえました。当時の私は、なんとなく病的だったのではないかと思うのですが、違う見方をすれば、幸せな日々だったのです。大学生の頃の私は働きもせず、毎日好きなことをしており、貴族のような生活でした。

2018/03/07 (Wed) 23:13 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment